なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか キャリアにつながる学び方 浦坂純子著 ちくまプリマー新書

同志社大学准教授の先生の本。大学でまじめに勉強することが結果的に就職にも有利になるのだ、ということが言いたいのだ。

何を学ぶかではなく、どう学ぶかという点を重視し、そのプロセスを着実に遂行できることが、社会人としての底力にもなり得る。(p165)
そのプロセスとは、まず問題意識を持って取り組みを立案すること。その際、現状を正確に把握するべく下調べを行うこと。そして、勇気を持って実行に移す。得られた結果は、冷静に振り返り、総括し、周囲と共有する。研究だけでなく、仕事でも、取り組む対象が何であっても、専門分野にかかわらず、求められるプロセスはすべて同じです。(p165−166)

確かに、その通り。問題解決能力というのは、これらのことがうまくできる能力なのだと思う。


数学も大切らしい。嫌いだけど大事なものを勉強する態度、とかも関連するので、簡単に数学を受験していればよいというわけではないのだけれど。(浦坂純子、西村和雄、平田純一、八木匡 「数学学習と大学教育・所得・昇進―「経済学部出身者の大学教育とキャリア形成に関する実態調査」に基づく実証分析」 日本経済研究 日本経済研究センター 46号 2002年)

数学を受験した人は、大学でも高い学業成績を上げ、生涯にわたってより高い年収や職位を獲得し、転職した場合も収入面で有利な条件に恵まれていることがわかりました。(p98)

困難から逃げない、ということもきちんと仕事をする上で重要なことだ。目的のために数学から逃げないということの方が、数学自体よりも大切な気はする。


著者は、とりあえず関係のなさそうなことは排除して効率よく物事を処理していくことを「近視眼的(p9)」と批判している。確かに近視眼的な対応では身につかないものもあるのだろうと思う。ただ、現在就職活動中の学生にはすでに遅い話である。


読むとしたなら、高校生から大学1年くらいまで。今の時代、2年になったらもう遅いんだろうと思う。